
育休から復職するとき、「時短勤務にしたいけれど、その分お給料が減るのが心配」という声は少なくありません。その収入減を一部補うために、2025年4月に新設されたのが育児時短就業給付金です。
この記事では、対象になる条件、支給額の計算の考え方(原則賃金の10%と、例外となる「逓減調整」の仕組み)、申請の流れを整理します。
この記事について(必ずお読みください)
本記事は、こども家庭庁・厚生労働省などの一次情報に基づく制度の一般的な解説です。個別の事情に応じた税務・労務の相談には対応していません。金額・条件は2026年10月時点の情報で、変わることがあります。申請前に、勤務先・ハローワーク・市区町村や公式情報で必ず最終確認をしてください。
この記事で分かること
- 育児時短就業給付金の対象者と2つの支給要件ルート
- 支給額は原則「時短中の賃金の10%」。ただし例外があること
- 時短前賃金の90%以上の賃金が支払われる月に起きる「逓減調整」の仕組み
- 前提となる短時間勤務制度(3歳未満・1日原則6時間)と、給付金の対象(2歳未満)との年齢のズレ
育児時短就業給付金とは
- 何を:2歳未満の子を養育するために、所定労働時間を短縮して就業した人を支援する給付金です
- いつから:2025年4月に新設された、比較的新しい制度です
- どこへ申請:勤務先経由でハローワークへ申請します(詳しくは後述)
時短勤務は以前から制度として存在しましたが、「働く時間を短くした分だけ賃金が減る」ことが利用のハードルでした。この給付金は、その減った分の一部を公的に補うことで、復職後の時短勤務を選びやすくする狙いの制度です。
復職前後の手続き全体の流れは、ハブ記事で時系列に整理しています。
妊娠から育休まで、パパがやる手続きチェックリスト|期限順タイムライン
支給要件:2つのルートのどちらかを満たすこと
支給を受けるには、雇用保険の被保険者であることに加えて、次のいずれかのルートを満たす必要があります。
ルート1:育休から引き続き時短勤務を始めた場合
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、所定労働時間を短縮して就業を開始した場合が対象です
- 「育休明けに、そのまま時短勤務で復職する」という、最も一般的なパターンがこちらに当たります
ルート2:被保険者期間で要件を満たす場合
- 育休からの引き続きでなくても、時短就業を開始する前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上ある場合は対象になります
- たとえば育休を取らずに働き続け、あとから時短勤務に切り替えるケースなどが想定されます
共通の前提
- 対象の子は2歳未満であること(後述の短時間勤務制度そのものの対象年齢とは異なります)
- あくまで「所定労働時間を短縮して就業している」ことが前提で、休業中は対象になりません
自分がどちらのルートに当たるか分からない場合は、復職の相談のタイミングで勤務先の人事・総務に確認しておくと確実です。
支給額:原則は「時短中の賃金の10%」
原則の計算
- 支給額は原則として、時短就業中に支払われた賃金の10%です
- 例えば時短勤務でその月の賃金が20万円であれば、給付は月2万円が目安になります(あくまで原則の考え方です)
育休中の給付(育児休業給付金)とは別の制度です。育休中の給付額の計算方法はこちらで整理しています。
育児休業給付金はいくらもらえる?67%→50%の計算方法と振込までの流れ
例外:「逓減調整」が入る月
ただし、すべての月で機械的に10%が支給されるわけではありません。
- 時短前の賃金と比べて90%以上100%未満の賃金が支払われる月は、支給率が逓減調整されます
- これは、時短勤務で賃金が少ししか減っていない月に「賃金+給付の合計」が時短前の賃金を超えてしまい、「短く働いた方が収入が増える」という逆転が起きないようにするための仕組みです
イメージで説明します(数値は仕組みを理解するための単純化した例です)。
- 時短前の賃金が月30万円、時短後の賃金が月24万円(時短前の80%)の月:賃金の10%=2.4万円が給付され、合計は26.4万円
- 時短前の賃金が月30万円、時短後の賃金が月28万円(時短前の約93%)の月:そのまま10%(2.8万円)を足すと合計30.8万円となり、時短前の30万円を超えてしまいます。このような月は、合計が時短前の賃金を超えないよう、給付の支給率が引き下げられて調整されます
つまり「時短で賃金が大きく減った月ほど10%に近い給付が受けられ、減り幅が小さい月は給付も小さくなる」と理解しておくとよいでしょう。自分のケースでいくらになるかは、勤務先・ハローワークで確認してください。
前提となる「短時間勤務制度」の基本
給付金の前提として、そもそも時短勤務ができる制度の枠組みも押さえておきます。
短時間勤務制度(育児・介護休業法)
- 3歳未満の子を養育する労働者は、勤務先に申し出て短時間勤務制度を利用できます
- 内容は1日原則6時間の勤務です(勤務先の規程により形は異なります)
- あわせて請求できる両立支援の制度:
- 所定外労働(残業)の免除:3歳未満の子を養育する労働者が請求できます
- 時間外労働の制限・深夜業の制限:小学校就学前までの子を養育する労働者が請求できます
- 時短勤務中の賃金の扱いは勤務先の規程によります(短縮した分が減額されるのが一般的です。その減少分への支援が、この給付金です)
注意:給付金の対象は「2歳未満」まで
混同しやすいのが年齢の上限です。
- 短時間勤務制度を利用できるのは、子が3歳未満の間
- 一方、育児時短就業給付金の対象は、子が2歳未満の間
つまり、子が2歳を過ぎてからも時短勤務自体は続けられますが、給付金の支給は2歳未満の期間が対象です。復職時期と時短の期間を計画する際は、このズレを踏まえておきましょう。
復職の時期は保育園の入園タイミングとも連動します。申込スケジュールの考え方はこちらです。
保育園の申込スケジュール入門|見学・申込・結果はいつ?自治体ごとの調べ方
申請の流れ
- 申請先:勤務先経由でハローワークへ申請します。本人が直接ハローワークへ行って完結する手続きではありません
- 進め方の目安:
- 復職・時短勤務の希望を勤務先に伝え、時短の開始日と勤務時間の形を決める
- 勤務先の人事・総務に、育児時短就業給付金の申請について確認する(要件のルート1・ルート2のどちらに当たるかも含めて)
- 勤務先が必要書類をそろえ、ハローワークへ申請する
- 審査のうえ、支給が決定される
- 申請の単位期間や必要書類の詳細は勤務先の運用によって案内されるため、時短を始める前に勤務先へ確認しておくのが確実です
受給までのチェックリスト
申請前に、次の項目を確認しておきましょう。
- [ ] 雇用保険の被保険者である
- [ ] 養育する子が2歳未満である
- [ ] 所定労働時間を短縮して就業している(または開始予定である)
- [ ] 次のどちらかを満たす:育休給付の対象となる育休から引き続き時短を開始した/時短開始前2年間に被保険者期間が12か月以上ある
- [ ] 勤務先に時短勤務の申出と、給付金の申請について確認済みである
- [ ] 時短後の賃金が時短前の90%以上になる月は、給付が逓減調整される場合があることを理解している
まとめ
- 育児時短就業給付金は、2025年4月新設。2歳未満の子のために時短勤務をする人への支援です
- 支給額は原則、時短就業中に支払われた賃金の10%
- ただし、時短前賃金の90%以上100%未満の賃金が支払われる月は、賃金と給付の逆転を防ぐため支給率が逓減調整されます
- 要件は「育休から引き続き時短を開始」または「時短開始前2年間に被保険者期間12か月以上」のいずれか
- 短時間勤務制度自体は3歳未満・1日原則6時間。給付金の対象(2歳未満)より長く使える点に注意
- 申請は勤務先経由でハローワークへ。時短を始める前の確認が確実です
公式情報へのリンク集(一次情報)
申請前の最終確認は、必ずこちらで行ってください。
- 厚生労働省(育児・介護休業法、育児時短就業給付など):https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」(給付の要件・支給額の詳細)
- こども家庭庁:https://www.cfa.go.jp/
- ハローワーク インターネットサービス:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
- 日本年金機構(復帰後の社会保険料の見直しなど):https://www.nenkin.go.jp/
再掲・ご注意
本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務・労務相談への回答は行っていません。金額・条件は2026年10月時点の情報です。実際の申請では、勤務先・ハローワーク・市区町村および上記の公式情報で最新内容を必ずご確認ください。


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