
妊娠が分かってから育休を取るまで、パパ(と夫婦)がやる手続きはかなりの数があり、その多くには期限があります。申請しないともらえないお金も少なくありません。
この記事では、妊娠判明から復職前後までの手続きを、ステージごとに期限順のチェックリストに整理しました。「何を・いつまでに・どこへ・いくら(目安)」が一目で分かる形にしています。
この記事について(必ずお読みください)
本記事は、こども家庭庁・厚生労働省などの一次情報に基づく制度の一般的な解説です。個別の事情に応じた税務・労務の相談には対応していません。金額・条件は2026年10月時点の情報で、変わることがあります。申請前に、勤務先・ハローワーク・市区町村や公式情報で必ず最終確認をしてください。
この記事で分かること
- 妊娠〜復職までに必要な手続きの全体像と期限
- 申請しないともらえないお金の種類と金額の目安
- パパ側の申出期限(産後パパ育休は原則2週間前、育児休業は原則1か月前)
- 落とし穴になりやすい特例・判定ルール(児童手当の15日特例、賞与の保険料免除の「1か月超」など)
まず全体像:期限順タイムライン
細かい説明の前に、期限のあるものだけを抜き出した全体像です。
| 時期 | 手続き | 期限 | 金額の目安 |
|---|---|---|---|
| 妊娠判明後すぐ | 妊娠届・母子健康手帳の受け取り、妊婦給付認定(1回目) | 妊娠が分かったら速やかに | 5万円(1回目) |
| 妊娠中〜出産前 | 夫婦それぞれの勤務先へ報告、社内規程と申出期限の確認 | 出産予定日が決まったら早めに | ― |
| 出産予定日の8週間前以降 | 胎児の数の届出(妊婦のための支援給付2回目) | 出産予定日の8週間前の日以降 | 胎児1人あたり5万円 |
| 出産前 | 産後パパ育休の申出(勤務先) | 原則、休業開始の2週間前まで | 給付は下記 |
| 出産前 | 育児休業の申出(勤務先) | 原則、休業開始の1か月前まで | 給付は下記 |
| 出産前〜入院時 | 出産育児一時金の直接支払制度の合意(医療機関) | 入院・分娩前まで | 1児あたり50万円 |
| 出産日〜14日以内 | 出生届(市区町村) | 出生日を含めて14日以内 | ― |
| 出産の翌日〜15日以内 | 児童手当の認定請求(市区町村) | 出生の翌日から15日以内(15日特例) | 月15,000円〜(下記) |
| 出産後すぐ | 子の健康保険加入、乳幼児医療証の申請 | 速やかに | 自治体により異なる |
| 出産後8週間以内 | 産後パパ育休の取得(上限28日・2回まで分割可) | 出生後8週間以内 | 賃金日額×日数×67% |
| 育休中 | 育児休業給付金の申請(勤務先経由・ハローワーク) | 原則2か月ごとに支給申請 | 67%(180日まで)→50% |
| 復職前 | 保育園の申込(市区町村) | 4月入園は前年10〜11月頃が一般的 | 自治体により異なる |
| 出産した年の翌年 | 出産費用の医療費控除(確定申告) | 確定申告期間(原則2〜3月) | 支払額−補填−10万円が目安 |
ステージ0:妊娠判明〜妊娠中
妊娠初期は「届出」と「情報収集」のステージです。
妊娠届・母子健康手帳・妊婦健診の受診券
- 何を:妊娠が分かったら、住民票のある市区町村へ妊娠届を提出し、母子健康手帳と妊婦健診の受診券(補助券)を受け取ります
- いつまでに:妊娠が分かったら速やかに
- どこへ:住民票のある市区町村の窓口
- 金額:妊婦健診の公費助成は自治体により異なります(一般に14回分程度の受診券ですが、自治体差が大きいため要確認)
妊婦のための支援給付(1回目)
- 何を:妊娠届出とあわせて、市区町村の窓口で「妊婦給付認定」を申請します(2025年4月に法定化。旧・出産・子育て応援給付金の後継です)
- どこへ:住民票のある市区町村
- 金額:認定後に5万円
夫婦双方の勤務先への妊娠報告・制度確認
- 何を:出産予定日が決まったら、夫婦それぞれの勤務先に報告し、産休・育休・時短勤務の社内規程と申出期限を確認します。この確認が後段のすべての給付の前提になります
- ポイント:パパ側は、産後パパ育休の申出が原則2週間前、育児休業の申出が原則1か月前であることを早めに押さえてください
育休を取る前に会社に伝えること|申出は1か月前まで、伝える内容と段取り
出産費用の領収書を保管する(医療費控除の下準備)
- 何を:妊婦健診の自己負担分や通院の交通費など、領収書を夫婦で一元保管します。出産した年の医療費控除(後述)に使うため、妊娠中からファイルにまとめておくのがおすすめです
ステージ1:出産直前・産前
出産が近づいたら、「お金の受け取り方」と「休みの申出」を確定させます。
出産育児一時金(直接支払制度)
- 何を:出産する医療機関で直接支払制度の合意書を提出すると、健康保険から医療機関へ一時金が直接支払われ、窓口負担は差額のみになります。費用が一時金を下回れば、差額を健康保険へ請求できます
- どこへ:出産する医療機関(合意書)/差額の請求は加入先の健康保険
- 金額:原則1児あたり50万円(産科医療補償制度の対象外となる分娩は48万8,000円)。双子の場合は2児分です
出産育児一時金50万円の使い方|直接支払制度と、差額が戻ってくるケース
産前産後休業と出産手当金の申請準備(妻が被保険者本人の場合)
- 何を:妻が健康保険の被保険者本人の場合、出産予定日前42日(多胎妊娠は98日)から産前休業に入れます。出産手当金は勤務先・健康保険へ申請し、医師・助産師と事業主の証明が必要です。申請の流れと必要書類は、産後に慌てないよう夫婦で事前に確認しておきましょう
- 金額:1日あたり標準報酬日額の3分の2×休業日数(産前42日+産後56日の範囲)
妻の産休中、家計はいくら入る?出産手当金の計算と支給タイミング
産後パパ育休(出生時育児休業)の申出
- 何を:出生後8週間以内に取得できる、通常の育児休業とは別枠の休業です
- いつまでに:原則として休業開始の2週間前までに勤務先へ申出
- 取得の枠組み:出生後8週間以内に、合計28日(4週間)まで。2回まで分割して取得できます(分割する場合は、最初にまとめて申し出るのが原則です)
- 補足:労使協定がある場合などは、休業中に一定範囲で就業できる仕組みもあります
産後パパ育休の取り方|8週間・28日・2回分割と、会社への申出は2週間前まで
育児休業の申出+夫婦の取得計画
- 何を:通常の育児休業は、原則として休業開始の1か月前までに勤務先へ申し出ます
- ポイント:あわせて、ステージ3の出生後休業支援給付金の条件(夫婦それぞれ対象期間内に14日以上の育休等)を満たせるよう、夫婦の取得計画をここで設計しておきましょう。「生まれてから」では間に合わないことがあります
妊婦のための支援給付(2回目)
- 何を:出産予定日の8週間前の日以降に、市区町村へ「胎児の数の届出」を提出します
- 金額:胎児1人あたり5万円(単胎妊娠なら1回目と合わせて合計10万円)
ステージ2:出産〜産後すぐ
出産直後は、期限の厳しい届出が集中します。特に漏れに注意してください。
出生届
- 何を:出生証明書(医療機関が発行)とあわせて市区町村へ提出します
- いつまでに:出生日を含めて14日以内
- どこへ:市区町村の窓口(届出先は本籍地・出生地・届出人の所在地のいずれか)
- 補足:子のマイナンバーは出生届により自動で付番されます
児童手当の認定請求(15日特例)
- 何を:出生の翌日から15日以内に市区町村へ認定請求をすると、出生月分から支給されます。これが「15日特例」です
- 注意:申請が遅れると、遅れた月分は受け取れません。出生届とセットで済ませるのが安全です
- 金額(2024年10月拡充後・所得制限は撤廃):
- 第1子・第2子:3歳未満は月15,000円、3歳以上は月10,000円
- 第3子以降:年齢にかかわらず月30,000円
- 支給は高校生年代(18歳に達した後の最初の3月31日)まで、年6回(偶数月)に2か月分ずつ
児童手当の申請で損しないために|出生から15日以内の特例と2024年拡充(高校生まで・所得制限なし)
子の健康保険加入+乳幼児医療費助成
- 何を:勤務先(会社員の場合は加入先の健康保険)で子の健康保険加入手続きを行い、あわせて市区町村で乳幼児医療証の交付を申請します
- 金額:乳幼児医療費助成の対象年齢・自己負担は自治体により異なります(中学生・高校生年代まで拡充する自治体が増加中)。自治体の案内で確認してください
子どもが生まれたら14日以内|出生届から健康保険・医療証までの手続きリスト
出生時育児休業給付金(産後パパ育休の給付)
- 何を:産後パパ育休を取得した場合に支給される給付金です。申請は勤務先経由でハローワークへ
- 金額:賃金日額×取得日数×67%
出産手当金の申請(本申請)
- 産後休業の終了後などに、証明書類をそろえて勤務先経由または直接、加入先の健康保険へ申請します(金額はステージ1参照)
産後休業中の夫婦の役割分担
- 妻は出産の翌日から56日間、産後休業となります(原則として就業できません)。この期間にパパ側の休み(産後パパ育休・年休・会社独自の配偶者出産休暇など)をどう配分するか決めておきましょう
ステージ3:育休中
休みに入ったら、給付金の申請サイクルと社会保険料免除の判定ルールを押さえます。
育児休業給付金
- 何を:子が1歳(要件により最長2歳)になるまでの育休中に支給されます。申請は勤務先経由でハローワークへ、原則2か月ごとに支給申請を行います
- 金額:休業開始時賃金日額×支給日数×67%(支給日数が180日まで)。181日目以降は50%です
- 注意:賃金日額には上限・下限があり、毎年8月に改定されます
育児休業給付金はいくらもらえる?67%→50%の計算方法と振込までの流れ
出生後休業支援給付金(2025年4月新設)
- 何を:育児休業給付金などに上乗せされる、2025年4月に創設された給付金です
- 金額:賃金日額×本人の休業日数(上限28日)×13%。育児休業給付金(67%)と合わせると80%になり、給付金が非課税であることや社会保険料の免除とあわせて、厚生労働省は「手取り10割相当」と説明しています
- 主な条件:
- 本人が対象期間内(父親は出生後8週間以内、産後休業を経る母親は出産後16週間以内)に、通算14日以上の育休等を取得すること
- 原則として、配偶者も対象期間内に14日以上の育休を取得すること。ただし父親は配偶者が出産した場合は配偶者の育休要件は不要で、ひとり親・配偶者が自営業などの例外もあります
- 申請:勤務先経由でハローワークへ
出生後休業支援給付金とは?夫婦で14日ずつ休むと手取り10割相当になる条件
社会保険料の免除(月給分)
- 何を:育休中(産後パパ育休を含む)は、健康保険料・厚生年金保険料が本人・事業主とも免除されます。手続きは勤務先が年金事務所・健康保険組合へ申し出ます
- 判定ルール(ここが重要です):
- その月の末日が育休期間中であれば、その月の保険料が免除されます
- 育休の開始・終了が同じ月内でも、14日以上取得すればその月は免除されます
- なお、免除された期間も将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます
社会保険料の免除(賞与分)—落とし穴注意
- 賞与にかかる保険料が免除されるのは、賞与月の末日を含む連続した1か月を超える育休を取得した場合に限ります(2022年10月改正)
- 「ちょうど1か月」では対象外です。パパ育休を賞与月にどう重ねるかで手取りが変わる、典型的な落とし穴なので、取得日程を決める前に勤務先へ確認してください
育休中の社会保険料免除の落とし穴|月末・14日・賞与は「1か月超」の判定ルール
育休の分割取得・パパ・ママ育休プラス
- 育児休業は原則2回まで分割取得できます。両親ともに取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」で、子が1歳2か月に達するまで期間が延びます(父母それぞれ上限1年間)
育休中の住民税・雇用保険の注意
- 育児休業給付金は非課税で、給与が支払われなければ雇用保険料の負担もありません
- 一方、住民税は前年の所得に基づく課税です。給与天引きが止まると普通徴収の納付書が届くことがあるため、育休前に資金繰りを確認しておきましょう
ステージ4:復職前後〜その後
復職が見えてきたら、保育園と働き方の制度、そして確定申告を確認します。
保育園の申込
- 何を:市区町村の保育担当窓口へ利用申込をします
- 時期:4月入園の一次申込は前年の10〜11月頃が一般的です。ただし申込時期・選考方法(点数制など)は自治体差が非常に大きいため、早めに自分の自治体のスケジュールと締切を確認してください(保育料は世帯の住民税額などで決まります)
保育園の申込スケジュール入門|見学・申込・結果はいつ?自治体ごとの調べ方
育児時短就業給付金(2025年4月新設)
- 何を:2歳未満の子を養育するため所定労働時間を短縮して就業した場合に支給されます。申請は勤務先経由でハローワークへ
- 金額:原則、時短就業中に支払われた賃金の10%
- 注意:時短前の賃金と比べて90%以上100%未満の賃金が支払われる月は、支給率が逓減調整されます。要件には、育休給付の対象となる育休から引き続き時短を開始すること等があります
育児時短就業給付金|復職後の時短勤務で賃金の10%が支給される条件
短時間勤務制度・残業免除などの両立制度
- 3歳未満の子を養育する労働者は、短時間勤務制度(1日原則6時間)を利用できます。あわせて残業の免除(3歳未満)、時間外労働・深夜業の制限(小学校就学前まで)も勤務先へ請求できます
子の看護等休暇
- 対象:小学校3年生修了までの子(2025年4月改正で従来の「就学前」から拡大。学級閉鎖や入園・卒園・入学式なども取得事由に含まれます)
- 日数:子1人で年5日、2人以上で年10日(時間単位取得可。賃金の有無は勤務先規程によります)
復帰後の社会保険料の見直し(育児休業等終了時改定)
- 時短勤務などで復帰後の報酬が下がった場合、勤務先経由で「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すると、復帰後3か月の報酬をもとに標準報酬月額が見直され、社会保険料の負担が下がることがあります。復帰時に勤務先へ確認したい手続きです
出産費用の医療費控除(確定申告)
- 何を:妊婦健診の自己負担分・分娩入院費・通院交通費などから、出産育児一時金や出産手当金などの補填分を差し引いた額が対象です。出産した年の翌年に確定申告で申告します(勤務先の年末調整では処理されません)
- 目安:支払った医療費から補填分と10万円(総所得金額等が200万円未満の場合はその5%)を差し引いた額が控除対象です
- 補足:16歳未満の子は扶養控除の対象外です(児童手当との役割分担のため)。年末調整で誤解されやすい点です
出産の医療費控除|一時金50万円を引いた残りが戻る仕組みと確定申告の手順
出産でもらえるお金総まとめ|一時金50万円・妊婦支援給付・出産手当金の全体像
夫婦で共有するコツ
手続きの窓口は「妻の健康保険」「パパの勤務先」「市区町村」と散らばります。漏れ防止に、次の3つを夫婦で共有しておくのがおすすめです。
1. 期限だけを抜き出したカレンダーを作る
出産予定日を起点に、タイムライン表から期限のあるものだけをスマホのカレンダーに登録します。特に出生届(14日以内)、児童手当(15日以内)、2つの申出期限(2週間前/1か月前)は、出産直後に忘れやすい項目です。
2. 書類と領収書の置き場所を1か所に決める
母子健康手帳、受診券、領収書、勤務先の制度案内は1つのファイルに集約し、医療費控除の領収書も同じ場所へ。誰が・いつ・どこへ出したかをメモしておくと確認が楽になります。
3. 「誰が・いつまでに・どこへ」を分担表にする
申請の主体は制度ごとに異なります(妻の健康保険、パパの勤務先、市区町村など)。分担を先に決めておくと、産後に「出したつもり・聞いていない」が起きにくくなります。迷ったら、勤務先の人事・総務と市区町村の窓口が最も確実な確認先です。
まとめ
最後に、絶対に漏らしたくないものだけ再確認します。
- 妊娠届と妊婦給付認定(1回目5万円)は妊娠が分かったら速やかに
- 申出期限:産後パパ育休は原則2週間前、育児休業は原則1か月前
- 出産育児一時金は1児あたり50万円、直接支払制度で窓口負担を軽く
- 出生届は14日以内、児童手当は15日以内(出生月分からの支給に必須)
- 育休の給付は67%→50%、条件を満たせば出生後休業支援給付金で+13%の上乗せ
- 賞与月の社会保険料免除は「1か月超」の取得が条件
各制度の詳しい計算方法や申出の進め方は、個別の解説記事で順に整理していきます。このチェックリストは、ステージが進むごとに確認し直してみてください。
公式情報へのリンク集(一次情報)
申請前の最終確認は、必ずこちらで行ってください。
- こども家庭庁(児童手当・妊婦のための支援給付など):https://www.cfa.go.jp/
- 児童手当の制度案内:https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/
- 厚生労働省(育児・介護休業法、産後パパ育休、給付金など):https://www.mhlw.go.jp/
- 日本年金機構(社会保険料免除など):https://www.nenkin.go.jp/
- 国税庁(医療費控除など):https://www.nta.go.jp/
- ハローワーク インターネットサービス:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
- お住まいの市区町村の公式サイト(妊娠届、出生届、児童手当、医療費助成、保育園の申込など)
再掲・ご注意
本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務・労務相談への回答は行っていません。金額・条件は2026年10月時点の情報です。実際の申請では、勤務先・ハローワーク・市区町村および上記の公式情報で最新内容を必ずご確認ください。

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