
子どもが生まれると、「扶養に入れたから税金が安くなるはず」と思うかもしれません。ところが所得税の扶養控除は、16歳未満の子は対象外です。ここを勘違いしたまま年末調整を迎えると、「思っていたより税金が安くならない」ということになります。
一方で、妻が産休・育休に入った年は、夫側の配偶者控除が受けられる可能性が広がる年でもあります。この記事では、年末調整前に押さえたい扶養控除まわりの「誤解」を4つ取り上げ、令和8年分(2026年分)の数字で整理します。
この記事について(必ずお読みください)
本記事は、国税庁などの一次情報に基づく制度の一般的な解説です。個別の事情に応じた税務・労務の相談には対応していません。金額・条件は2026年10月時点の情報で、変わることがあります。申告前に、税務署や公式情報で必ず最終確認をしてください。
この記事で分かること
- 16歳未満の子が扶養控除の対象外である理由(児童手当との役割分担)
- 対象外でも、年末調整の申告書に子を書く必要がある理由
- 扶養控除が始まる年齢と金額(一般38万円・特定扶養親族63万円)
- 妻の産休・育休中にチェックしたい配偶者控除・配偶者特別控除(令和8年分のラインは給与収入136万円)
誤解1:子どもが生まれたら扶養控除が受けられる
受けられません。所得税の扶養控除の対象になる「控除対象扶養親族」は、その年の12月31日時点で16歳以上の親族です。16歳未満の子(年少扶養親族)は、扶養控除の対象外とされています。
- 年少扶養親族への扶養控除は、子ども手当の創設にあわせて平成23年分(2011年分)から廃止されました
- 代わりに現金給付の児童手当が役割を担っています。児童手当は2024年10月から高校生年代まで拡充され、所得制限もなくなっています
つまり、小さい子については「税金の控除」ではなく「児童手当の給付」で支援する、という役割分担です。申請しないともらえない点は児童手当も同じなので、生まれたら期限内に申請しましょう。
児童手当の申請で損しないために|出生から15日以内の特例と2024年拡充(高校生まで・所得制限なし)
なお、医療費控除とは別の制度です。出産費用の医療費控除は年齢に関係なく検討できるため、混同しないようにしてください。
出産の医療費控除|一時金50万円を引いた残りが戻る仕組みと確定申告の手順
誤解2:対象外なら、年末調整の申告書に子を書かなくていい
これも誤解です。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、16歳未満の子も含めて扶養親族を記載します。
- 16歳未満の子は所得税の扶養控除には使われませんが、住民税の非課税判定など、他の場面で「扶養親族」として数えられることがあります
- 書き漏らすと、住民税の判定で不利になる場合があります
「控除の対象外=書かなくていい」ではありません。勤務先から申告書を渡されたら、子は年齢にかかわらず記載してください。
では扶養控除はいつから・いくらか
参考までに、16歳以上で扶養控除の対象になる場合の基本を確認しておきます(いずれも令和8年分)。
- 対象:その年の12月31日時点で16歳以上で、納税者と生計を一にし、合計所得金額が62万円以下(給与収入のみの場合は136万円以下)の親族など
- 控除額:一般の控除対象扶養親族は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円です
大学生年代の子については、もう1つ知っておきたい制度があります。19歳以上23歳未満の子の合計所得金額が62万円を超えても、123万円以下であれば特定親族特別控除として、所得に応じて段階的な控除(最大63万円)が受けられます。給与収入のみの場合、対象になるのは197万円以下までで、159万円以下なら控除額は満額の63万円です。「バイトをしすぎると親の控除がゼロになる」という崖は、現在はかなり緩やかになっています。
誤解3:妻が産休・育休中でも、配偶者控除は関係ない
むしろ逆で、妻が産休・育休に入った年こそ要チェックです。理由は、配偶者控除の判定に使う「合計所得金額」の性質にあります。
給付金は非課税で、所得に含まれない
- 妻が受け取る出産手当金と育児休業給付金は、いずれも非課税で、合計所得金額には含まれません
- そのため産休・育休中の年は、妻の合計所得金額は「産休に入る前にもらった給与」だけで決まることが多く、配偶者控除のラインを下回りやすいのです
妻の産休中、家計はいくら入る?出産手当金の計算と支給タイミング
令和8年分のライン(給与収入のみの場合)
- 配偶者控除:妻の合計所得金額が62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)で対象。夫の合計所得金額が900万円以下なら、控除額は38万円です
- 配偶者特別控除:妻の合計所得金額が62万円を超えても、133万円以下(給与収入のみなら207万円以下)なら段階的に控除が残ります。満額の38万円になるのは、妻の合計所得金額が95万円以下(給与収入のみなら169万円以下)の範囲です
- どちらの控除も、夫(控除を受ける本人)の合計所得金額が1,000万円を超えると受けられません
注意点として、判定に使うのは「その年1年分の給与」です。年の中頃に産休に入った場合、その年の前半の給与収入だけで136万円を超えていれば、その年は配偶者控除の対象にはなりません(翌年、丸1年育休で給与がなければ対象になりやすくなります)。
手続きは、夫の勤務先の年末調整で「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出するのが基本です。出し忘れた場合は、確定申告でも控除を受けられます。
誤解4:「103万円の壁」は今も103万円
配偶者控除のラインとして知られた「103万円」は、税制改正で段階的に引き上げられてきました。令和8年分では、配偶者控除の対象になる給与収入のラインは136万円以下です(合計所得金額62万円以下+給与所得控除の最低保障額74万円)。
- ただし「壁」は1つではありません。健康保険の扶養(妻が夫の被扶養者になれるか)や、妻自身の所得税・住民税、社会保険の加入要件は、それぞれ別の基準で判定されます
- 税金の配偶者控除のラインと、健康保険の扶養のラインは別物なので、混同しないようにしましょう
年末調整前チェックリスト
- □ 16歳未満の子は扶養控除の対象外だが、扶養控除等申告書には記載した
- □ 妻が産休・育休中の年は、妻のその年の給与収入(給付金は除く)を確認した
- □ 妻の給与収入が136万円以下なら配偶者控除、207万円以下なら配偶者特別控除の可能性を確認した
- □ 「配偶者控除等申告書」を勤務先に提出した(忘れた場合は確定申告で対応)
- □ 19歳以上23歳未満の子がいる場合は、特定扶養親族・特定親族特別控除の当てはまりを確認した
手続き全体のタイムラインは、ハブ記事でも確認できます。
妊娠から育休まで、パパがやる手続きチェックリスト|期限順タイムライン
まとめ
- 16歳未満の子は扶養控除の対象外(平成23年分から)。代わりに児童手当が役割を担う
- 対象外でも、年末調整の扶養控除等申告書には子を記載する(住民税の非課税判定などで使うため)
- 扶養控除は16歳から。一般38万円、特定扶養親族(19〜23歳)は63万円。19〜23歳は所得が増えても特定親族特別控除が段階的に残る
- 妻の産休・育休中は、出産手当金・育児休業給付金が非課税で所得に含まれないため、配偶者控除(令和8年分は妻の給与収入136万円以下がライン)の対象になりやすい
- 金額のラインは改正で変わるため、年末調整のたびに最新の数字を確認する
公式情報へのリンク集(一次情報)
申告前の最終確認は、必ずこちらで行ってください。
- 国税庁(タックスアンサー「No.1180 扶養控除」「No.1191 配偶者控除」「No.1195 配偶者特別控除」・年末調整の案内):https://www.nta.go.jp/
- こども家庭庁(児童手当について):https://www.cfa.go.jp/
- 勤務先の人事・給与担当(年末調整の申告書の提出方法・期限)
再掲・ご注意
本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務・労務相談への回答は行っていません。金額・条件は2026年10月時点の情報です。実際の申告では、税務署および上記の公式情報で最新内容を必ずご確認ください。


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