
「高校無償化」という言葉を聞くことが増えました。その中心にある制度が、高等学校等就学支援金です。高校等の授業料に充てるための支援で、返済は不要です。
そして2026年4月、この制度は大きく変わりました。所得制限が撤廃され、私立高校の支給上限額も引き上げられたため、これまで対象外だった世帯も含め、ほぼすべての世帯が授業料支援を受けられるようになっています。この記事では、新制度の内容と申請の流れ、「無償化」でも残る負担を整理します。
この記事について(必ずお読みください)
本記事は、文部科学省などの一次情報に基づく制度の一般的な解説です。個別の事情に応じた税務・労務の相談には対応していません。金額・条件は2026年10月時点の情報で、変わることがあります。申請前に、学校・都道府県や公式情報で必ず最終確認をしてください。
この記事で分かること
- 就学支援金の仕組み(学校が代理で受け取り、授業料に充てる)
- 2026年4月の変更点:所得制限の撤廃と、私立の上限額引き上げ
- 学校種ごとの支給上限額(公立11万8,800円・私立45万7,200円など)
- 申請の流れと、「無償化」でも自己負担が残るケース
制度の仕組み|お金は家庭ではなく学校へ
就学支援金の基本的な仕組みは次のとおりです。
- 対象は、高等学校等に通う生徒です。支援金は、学校(設置者)が生徒に代わって受け取り、授業料に充てます。家庭の口座に振り込まれるお金ではありません
- 返済は不要です(貸付型の奨学金とは異なります)
- 支援を受けられるのは授業料分のみで、金額には学校種ごとの支給上限があります
- 支援を受けるには申請手続きが必要です。自動的には支給されません
対象となる学校は、高等学校(全日制・定時制・通信制)、中等教育学校(後期課程)、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(1〜3年)、専修学校高等課程などのほか、一定の専修学校一般課程・各種学校も含まれます。なお、日本国籍以外の生徒には、国籍・在留資格等の要件があります。
2026年4月から何が変わったか
所得制限が撤廃された
旧制度では、世帯の所得に応じて支援の対象外になったり、加算の有無が分かれたりしていました。新制度では所得制限がなくなり、世帯年収にかかわらず支給対象になります。「年収が高いからうちは対象外」という判断は、2026年度からは当てはまりません。
私立高校の上限額が引き上げられた
私立高校(全日制等)の支給上限額は、従来の年39万6,000円から年45万7,200円に引き上げられました。私立高校の平均的な授業料水準を踏まえた金額で、私立でも授業料の大部分が支援で賄えるケースが広がっています。
なお、2026年3月時点で在学していた生徒のうち新制度の対象外となる場合には、経過措置による授業料支援が用意されています。該当するかどうかは学校に確認してください。
支給上限額(2026年度)
学校種ごとの支給上限(年額)は次のとおりです。実際の支給額は、その学校の授業料と上限額のうち、低い方までです。
| 学校種 | 支給上限額(年額) |
|---|---|
| 国立高校(全日制等) | 115,200円 |
| 公立高校(全日制等) | 118,800円 |
| 私立高校(全日制等) | 457,200円 |
| 私立高校(通信制) | 337,200円 |
見方を変えると、公立高校の授業料は一般に年118,800円に設定されているため、公立では授業料が実質的に全額支援されます。私立高校では、授業料が457,200円以下なら全額、それを超える学校では差額が自己負担になります。
高校生年代には、就学支援金と並んで児童手当も支給されています(2024年10月から高校生年代まで拡充され、所得制限も撤廃されました)。2つの制度は別物で、どちらも受給には手続きが必要です。
児童手当の申請で損しないために|出生から15日以内の特例と2024年拡充(高校生まで・所得制限なし)
申請の流れ
申請は、在学する学校を通じて行います。典型的な流れは次のとおりです。
- 入学時などに、学校から就学支援金の案内と申請方法の連絡があります
- 期限までに申請します(多くの都道府県・学校では、オンライン申請システム(e-Shien)を使った申請も可能です)。マイナンバー等の書類提出が求められる場合があります
- 都道府県で受給資格が認定されると、学校が支援金を代理で受け取り、授業料に充てます
注意したいのは次の点です。
- 申請しないと支援は受けられません。所得制限がなくなった今も、申請手続き自体は必要です。学校からの案内を見落とさないようにしましょう
- 学校によっては、支給が決まるまでの間、授業料をいったん徴収し、支援金相当額を後日還付する場合があります。「請求が来た=対象外だった」ということではないため、まず学校の案内を確認してください
- 申請時期や必要書類は、都道府県・学校により異なります
子育ての各ステージでもらえるお金全体の地図は、ハブ記事にもまとめています。
妊娠から育休まで、パパがやる手続きチェックリスト|期限順タイムライン
「無償化」でも残る負担
所得制限の撤廃で「高校はタダになる」と思われがちですが、自己負担が残るのは次のようなケースです。
- 授業料が支給上限を超える私立高校:上限との差額は自己負担です
- 授業料以外の費用:入学金、施設整備費、教材費、修学旅行費、制服代、部活動費などは、就学支援金の対象ではありません
- 申請をしなかった場合:手続きをしない期間分は支援を受けられません
授業料以外の教育費については、低所得世帯等を対象に、教科書費・教材費などを支援する高校生等奨学給付金(返還不要)という別の制度があります。2026年度からは対象となる世帯の範囲も拡充されています。就学支援金とは別に申請が必要なため、対象になりそうな場合は学校や都道府県に確認してください。
また、都道府県や市区町村が、国の制度に上乗せして授業料などを独自に支援している場合もあります。独自支援の有無や内容は自治体により異なるため、お住まいの自治体の公式サイトもあわせて確認しておきましょう。
申請チェックリスト
- □ 学校から就学支援金の案内が届いているか確認した
- □ 申請期限をカレンダーに登録した
- □ 必要書類(マイナンバー関係など)の案内を確認した
- □ 授業料の年額と、支給上限額(学校種別)との差額=自己負担額を試算した
- □ 授業料以外にかかる費用(入学金・教材費など)の内訳を確認した
- □ 高校生等奨学給付金の対象に当たるか、学校・都道府県に確認した
まとめ
- 高等学校等就学支援金は、授業料に充てる返済不要の支援。学校が代理で受け取る仕組みで、受給には学校を通じた申請が必要
- 2026年4月から所得制限が撤廃され、私立高校(全日制等)の上限は年457,200円に引き上げられた
- 支給上限は国立115,200円・公立118,800円・私立(通信制)337,200円(年額)。授業料が上限を超える分と、授業料以外の費用は自己負担
- 授業料以外の教育費には、別制度の高校生等奨学給付金がある(対象は低所得世帯等)
- 申請方法・時期は都道府県や学校により異なるため、学校からの案内が最優先の確認先
公式情報へのリンク集(一次情報)
申請前の最終確認は、必ずこちらで行ってください。
- 文部科学省(高校生等への修学支援・高等学校等就学支援金):https://www.mext.go.jp/
- お住まいの都道府県の教育委員会(申請方法・期限の案内)
- 在学する学校(申請案内・必要書類・授業料の徴収方法)
再掲・ご注意
本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務・労務相談への回答は行っていません。金額・条件は2026年10月時点の情報です。実際の申請では、学校・都道府県および上記の公式情報で最新内容を必ずご確認ください。


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